01 はじめに


 石の伝説・迷信が成立した背景や推進力として、一般的に石に付与されたとされる目に見えないエネルギーが考えられる。鉱物資源としての鉱石としての有用性ばかりでなく、磁力が原因であるかもしれない。
日本では、石そのものというよりも、水が豊富な国なので、 有効成分が水に溶けた温泉が珍重される。
では、英国で伝説が形成されたのはどんな石の呪力を人々が信じたせいなのか?

                             悪魔 と バグパイパー

 

 

 

 

 石は概ね以下の特別な魔力・秘力を持つとされる。

石はエネルギーを中に蓄えている。(+)
特にストーンサークルでは、磁力を強く感じられるそうだ。
曲がった棒状の道具を持って地中を探索するダウジングでは、サークル内で、反応が極めて強くなるという。


正当な指導者に権力を付与する。(+)
特別な霊力を持った石は、国王の即位式に使用される。スコットランドの「スクーンの石」が好例。
また、アーサー王が大石に刺さった剣(エクスカリバー、魔性の名刀)を抜くことで、王たる正当性を証明したエピソードもある。


病気やケガの治療や、魔よけやお守りとなる。(+)
温泉の効用にも通じるものだが、巨石をハンマーで欠いたり、削ったりして、人々が持ち帰る。
「ロールライト・ストーンズ」のキングストーンをはじめ、多くの遺構が破損の損害を被っている。

人間に役立つ行為を導く。(+)
ごくまれにではあるが、人間のためになることを巨石遺構の中で、起こしてくれる。
オックスフォードシャーの古墳「ウェイランド鍛冶屋」では、安価で馬の蹄鉄を打ち直してくれたり、
スコットランドの「カラニッシュ」やシュロップシャーの「ミッチェルズ・フォルド」の立石囲構では、飢饉の折、牝牛が農民に乳(生命をつなぐ大事な食糧)を与えてくれた話が伝えられている。


魔力を持つ石は、人間の思いどおりにさせない。(-)
「ロングメグと娘たち」で囁かれるように、巨石の数は数えられない。
正確に数えると、その人に不幸が訪れる。
元の場所から移動しようとすると、いつの間にか戻ってしまう。
移動しようとする時には、非常に重いが、元に戻す時には易々と運搬できる。


水を欲しがり、夜な夜な川へ水を飲みに行く。(-)
水は生命維持の源である。人間が神の罰や悪魔の呪いで、石にされてしまうという伝説が多いことの裏付けであるかもしれない。たとえ石にされても人間であるので、命を維持するために、水を必要としているのだ。
生物と無生物の境が無くなっている不可思議さを表明している。

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第2章 古墳の伝説

第3章 複合遺構・単独立石・その他の伝説

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