メナントール(穴石) (Men-an-Tol = Holed Stone)
ご存知の方もおいででしょうが、京都の高台寺近くに「安井金比羅宮」というお宮があります。そこには丸穴のあいた「縁切り縁結び碑(いし)」が置いてあって、願いが叶うという言い伝えがあります。祈願の作法は、先ず本殿に参拝し、形代(かたしろ、身代わり札)に願い事を書きます。そのお札を持って、願い事を念じながら表から石をくぐり、さらに裏からくぐり、最後に形代を石に貼ります。後は祈願成就を待つのみです。
メナントール穴石は、神にもすがりたいという庶民のたっての願いを叶えてくれると信じられていましたーー
勿論、ひと昔前のことですよ。こちらは病気の治癒が専門で、丸い穴は女性の象徴でしたから子供と女性への
御利益が特に期待されました。具体的には、くる病や瘰癧(るいれき、結核性頸部炎)を持った子供は、3回穴を
通し、草地を東方向に引きずること。リューマチや背骨疾患に苦しむ大人は、太陽と反対方向に9回穴をくぐることーーそれで「筋違い石」 Crick Stoneの異名があります。また、女性が満月の夜に、後ろ向きに7回くぐると子宝に恵まれるなど。さらには呪いから身を守るとか、予知力があるとまで信じられていました。穴石の上に2本の金属ピンを丁寧に十文字に置いて、石に何事かを念じます。すると、ピンは微妙な動きをして答えてくれます。不思議ですね。でもその謎解きは簡単です。恐らく、石が僅かながら磁気を帯びているからでしょう。
今でも金比羅様を信じる日本人には、きっとメナントールの呪力を信じることができるでしょう。鰯の頭も信心
から、と言いますから・・・。
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所在地: コーンウオール、東端近くのマドロン(Madron)の北東5km弱。
建造年代: 新石器時代後期~青銅器時代初期(紀元前2500年~1000年頃)、花崗岩。
現在の構造: 穴石の前後に2個の石が据えてある。背丈1.2mほど。
19世紀の好古家ボーレイズ(Borlase) に依ると、元来はストーン・サークルであったが、
大半の石が倒壊したり、土に埋もれたりした。農民に石を持ち去られ紛失した石も多数。
その後、穴石を中央にして他の2本を直線上に据え直して3つ組みに仕立てたというのが
真相のようだ。
近くには、横倒しになったり、土中に埋まった石が散見される。
昔のサークルのサイズ:直径18m。石の数:18~20個で、石の円内側面は平坦に加工されている。
附言: 穴石は高さ1.1m、横幅1.3m。穴の大きさ:直径50cm(大人が通るには、ギリギリの寸法)。
18世紀のスケッチ及び現在の形状観察から、元は角があって、円形ではなかったかも。
穴石は他所の墳墓から持って来たというのが、有力な説。他の穴石*と比較して穴が大きい。自然に出来た小穴に手を加えたものであろうか。 *(註:Trethevy Quoit 参照。 第2章の古墳の伝説の写真)
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<参考資料>
"Mysterious Britain", H. Sykes, Weidenfeld and Nicolson (1993), London.
“Men-an-Tol”,(https://www.cornwall.gov.uk/environment-and-planning/), Retrieved April 14, 2020.
“Men-an-Tol”, (http://www.ancient-wiscom.com/englandmenantol.htm), Retrieved April 14, 2020.
ご存知の方もおいででしょうが、京都の高台寺近くに「安井金比羅宮」というお宮があります。そこには丸穴のあいた「縁切り縁結び碑(いし)」が置いてあって、願いが叶うという言い伝えがあります。祈願の作法は、先ず本殿に参拝し、形代(かたしろ、身代わり札)に願い事を書きます。そのお札を持って、願い事を念じながら表から石をくぐり、さらに裏からくぐり、最後に形代を石に貼ります。後は祈願成就を待つのみです。
メナントール穴石は、神にもすがりたいという庶民のたっての願いを叶えてくれると信じられていましたーー
勿論、ひと昔前のことですよ。こちらは病気の治癒が専門で、丸い穴は女性の象徴でしたから子供と女性への
御利益が特に期待されました。具体的には、くる病や瘰癧(るいれき、結核性頸部炎)を持った子供は、3回穴を
通し、草地を東方向に引きずること。リューマチや背骨疾患に苦しむ大人は、太陽と反対方向に9回穴をくぐることーーそれで「筋違い石」 Crick Stoneの異名があります。また、女性が満月の夜に、後ろ向きに7回くぐると子宝に恵まれるなど。さらには呪いから身を守るとか、予知力があるとまで信じられていました。穴石の上に2本の金属ピンを丁寧に十文字に置いて、石に何事かを念じます。すると、ピンは微妙な動きをして答えてくれます。不思議ですね。でもその謎解きは簡単です。恐らく、石が僅かながら磁気を帯びているからでしょう。
今でも金比羅様を信じる日本人には、きっとメナントールの呪力を信じることができるでしょう。鰯の頭も信心
から、と言いますから・・・。
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所在地: コーンウオール、東端近くのマドロン(Madron)の北東5km弱。
建造年代: 新石器時代後期~青銅器時代初期(紀元前2500年~1000年頃)、花崗岩。
現在の構造: 穴石の前後に2個の石が据えてある。背丈1.2mほど。
19世紀の好古家ボーレイズ(Borlase) に依ると、元来はストーン・サークルであったが、
大半の石が倒壊したり、土に埋もれたりした。農民に石を持ち去られ紛失した石も多数。
その後、穴石を中央にして他の2本を直線上に据え直して3つ組みに仕立てたというのが
真相のようだ。
近くには、横倒しになったり、土中に埋まった石が散見される。
昔のサークルのサイズ:直径18m。石の数:18~20個で、石の円内側面は平坦に加工されている。
附言: 穴石は高さ1.1m、横幅1.3m。穴の大きさ:直径50cm(大人が通るには、ギリギリの寸法)。
18世紀のスケッチ及び現在の形状観察から、元は角があって、円形ではなかったかも。
穴石は他所の墳墓から持って来たというのが、有力な説。他の穴石*と比較して穴が大きい。自然に出来た小穴に手を加えたものであろうか。 *(註:Trethevy Quoit 参照。 第2章の古墳の伝説の写真)
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<参考資料>
"Mysterious Britain", H. Sykes, Weidenfeld and Nicolson (1993), London.
“Men-an-Tol”,(https://www.cornwall.gov.uk/environment-and-planning/), Retrieved April 14, 2020.
“Men-an-Tol”, (http://www.ancient-wiscom.com/englandmenantol.htm), Retrieved April 14, 2020.