第3章 複合遺構・単独立石・その他の伝説
ストーンサークル、古墳の巨石遺構ばかりでなく、英国には、先史時代に造営された他の巨石がある。しかも、人為的に建立されたもの以外の自然生成の奇岩にまつわる伝説もあるので、是非紹介したい。本章で最初に取り上げるのは、スコットランド王の戴冠に欠くべからざる「スクーンの石」。21世紀の現代においても、スコットランド国民に与える象徴的影響力には大きなものがある。さらに、ロールライト・ストーンズは、ストーンサークル+古墳(ドルメン)+単独巨石(メンヒル)の3タイプが近距離に揃った希有な複合遺構である。3要素を統合して形成された伝説は、天晴れと言うしかない。
秘石は正統な指導者に権力を付与すると聞くと、誰しもアーサー王伝説を思い浮かべるだろう。石に埋められた魔剣エクスカリバーは、どんな力持ちでも抜くことは出来なかったが、正しい王家の血筋たるアーサーが試すと、易々と抜くことができたという有名な伝説だ。この石と剣の組み合わせは余りにも人知を超えているので、真の石の所在については、いまだもってどこからも名乗りがない。従って残念だが、この伝説は本篇の範囲外であることをお断りしておく。
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第3章 目次
31.スクーンの石 (Stone of Scone)
①流浪の歴史その1:アイルランドでの伝説
②流浪の歴史その2:スコットランド建国
③流浪の歴史その3:イングランドへの移送
④流浪の歴史その4:1950年の事件
⑤流浪の歴史その5:帰郷
32.ロールライト・ストーンズ (Rollright Stones)
<寄り道コラム> ロロ (Rollo)
<寄り道コラム> ニワトコの薬効 (Eldern Tree)
33.メナントール (Men-an-Tol)
34.カラニッシュ (Callanish)
35.ブルータス・ストーン (Brutus Stone)
36.ラッパ石 (Blowing Stone)
37.悪魔の石矢 (Devil’s Arrows)
38.ハロルズ・ストーン (Harold’s Stones)
39.チーズリング (Cheesewring)
40.丸鼻の猟師 (Bowerman’s Nose)
41.ジャイアンツ・コーズウェイ (Giant's Causeway)
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