ハロルズ・ストーンズ (Harold's Stones) の3種類の伝説
伝説 ① サクソン王国の最後のハロルド王は、1063年にウェールズを支配していたブリトン人との戦いに勝利を
しました。さぞ厳しい戦いだったのでしょう、このウェールズの地に記念碑を建てさせたのです。
伝説 ② 実はハロルドは占領軍ローマの武将でした。北からの攻めが難しいとみるや、ローマ軍は南から
ウェールズに攻め入りました。山岳地方での苦戦の後、ローマ軍はウェールズの三豪族の連合軍を壊滅に
追い込みました。その悲しい戦場に、地元民が哀悼の意を表して建てたのが3本の石柱なのです。
伝説 ③ 3本の石柱は本当は超人的な事件の結果なのですよ。謎に包まれたケントのジャック (Jack O’Kent)
という巨人が、ある時悪魔と張り合って、石投げ競争をすることになりました。23キロ離れたビーコン・
ヒルの頂上から2本ずつ投げました。ジャックの一本目は森に落ちてしまいましたが、悪魔は2本とも
かなり遠方に投げることに成功しました。ジャックが死に物狂いで2本目を投げると・・・僅かに悪魔の
石を超えた先に落下しました。勝負あり。
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所在地: ウェールズ、モンマスシャー、トレレック村(Trellech)
<トレレックは「3つの石柱」の意味(Trellech ← tri=three, llech=flat stone)なので、
村の名はハロルズ・ストーンの存在が語源となった。>
建造年代: 青銅器時代初期 (およそ紀元前2000年~1000年頃)
構造: 3つの石柱が北東=南西の基軸に列を成している。
礫岩(堆積岩の一種で別名「プディング石」)。
ビーコン・ヒル(Beacon Hill) から切り出されたと思われる。
上記写真で手前の平たい石は高さ2.7m、中央の石は3.7m、さらに奥の斜めの石は4.6m。
現在3本の石柱は全長12mの長さにわたり、ほぼ一直線にならんでいるが、17世紀
以前にはさらなる石柱が存在していた可能性が大きい。
明らかに、4本目の石柱は18世紀に破壊された。
附記: ハロルズ・ストーンズの名の初出は17世紀末。ハロルドの名の謂れは
定かでないため、複数の曖昧な伝説ができた。トレレック村の聖ニコラス教会
には1689年に造られた石の日時計が保存されている。
その台座には3石柱が彫刻されており、7,10,14の謎の数字(高さ?)が
刻まれている。
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<参考資料>
“Harold’s Stones”, (https://www.stonepages.com/wales/haroldstones.html),Retrieved
April 18, 2020.