<特集>石灰岩の丘に掘られた丘絵(ヒル・フィギュア)
(左)アルトンバーンズ白馬 (中)オスミントン白馬 (右)フォークストーン白馬
丘絵って何?
イギリス南部では石灰岩が地表を覆っている。
白色の石灰質の土壌を利用して、緑の丘の斜面に像を掘ったのが丘絵。
自然をキャンバスに見立てた雄大な民衆芸術で、3000年もの歴史がある。
イギリスの田園風景には欠かせないアクセントだ。
1.目的
古代には異教の偶像だったらしい。中世にはキリスト教の圧力で
多くの古代像が自然消滅したらしい。
今は伝統保存・観光・情報発信手段などが主な目的。
2.所在地と形体
南部に集中しているが、石灰岩のないスコットランドにもある。
馬の形が最も多いが、巨人・紋章・動物なども見られる。
3.造り方
A. 地表を意図した形に掘り、石灰層を露出させるだけ。
B. 丁寧に仕上げるには、細かく砕いた石灰や他の素材で埋める。
<丘の断面>
A.露出タイプ (表面がそのまま) B.埋め戻しタイプ(壕を綺麗な石灰で埋める)

4.補修
丘面の草取りをせずに放置すると、草が生い茂り自然消滅したり、
壕が崩壊したりする。 マメなメインテナンスは必須。
*******************************************************************************************************
<参考資料> 「イギリスの丘絵を紹介する本」 黒田千世子 著 講談社出版サービスセンター 2003年